第4章 積分(2)

台形公式(続き)

台形公式の誤差

F(x):2点に対してラグランジュ補間の1次多項式近似をしている。
補間の誤差公式
|f(x)-F(x)|=...=\frac{1}{12}h^3 \begin{matrix} \mbox{ max } \\ \xi \end{matrix}|f^{(3)}(\xi)|より

\begin{matrix}|\int_a^b f(x)dx - \int_a^bF(x)| & \le & \sum_{j=0}^{N-1} \frac{1}{12}h^3 \begin{matrix} \mbox{ max } \\ \xi \end{matrix} |f^{(3)}(\xi)|\\ & = & \frac{1}{12} \frac{1}{N^2}(b-a)^3 \begin{matrix} \mbox{ max } \\ \xi \end{matrix}|f^{(3)}(\xi)|\end{matrix}
誤差→ O\left\(\frac{1}{N^2}\right\)=O\left\(h^2\right\)

台形公式の計算順序

終了条件:Nを増やす→解が収束→終了
(Nを先に決めないと計算できないようなアルゴリズムでは良いアルゴリズムとならない)
・N=2^nとすれば、前の計算の中間点を計算に追加することで徐々に精度が上げられる
T_n=\frac{b-a}{2^n}\left\{ \frac{f(a)}{2}+f\left(a+\frac{b-a}{2^n}\right)+...+\frac{f(b)}{2}\right\}
T_{n+1}=\frac{b-a}{2^{n+1}}\left\{ \frac{f(a)}{2}+f\left(a+\frac{b-a}{2^{n+1}}\right)+f\left(a+2\frac{b-a}{2^{n+1}}\right)+...+\frac{f(b)}{2}\right\}
これより
T_{n+1}=\frac{T_n}{2}+\frac{b-a}{2^{n+1}}\left\{f\left(a+\frac{b-a}{2^{n+1}}\right)+f\left(a+3\frac{b-a}{2^{n+1}}\right)+...+f\left(b-\frac{b-a}{2^{n+1}}\right)\right\}

シンプソン則

2次多項式による近似が行われる

F(x)=A+Bx+Cx^2に対して、(-h,y0),(0,y1),(h,y2)の点を通るように補間するので、1区間の近似式は
S=\int_{-h}^h F(x)dx=\frac{h}{3}\left(y_0+4y_1+y_2\right)
となり、全区間の近似式は
\frac{h}{3}\left[\left(y_0+4y_1+y_2\right)+\left(y_2+4y_3+y_4\right)+ ... + \left(y_{n-2}+4y_{n-1}+y_n\right)\right] \\ = \frac{h}{3}\left[y_0+4\left(y_1+y_3+...+y_{n-1}\right) + 2\left(y_2+y_4+...+y_{n-2}\right)+y_n\right]
シンプソン則の誤差→ O\left\(\frac{1}{N^4}\right\)=O\left\(h^4\right\)
ラグランジュの補間公式からではh^3までしか導かれないが、詳しい計算の結果h^4のオーダであることが分かっている。

シンプソン則の計算の順序

終了条件:Nを増やす→解が収束(もともとこういうアルゴリズム

シンプソン則と台形則の関係

N=2^nのとき
S_{n+1} = \frac{4}{3}T_{n+1}-\frac{1}{3}T_n
よって下のようなアルゴリズムになる。

  1. T(n)からT(n+1)を計算
  2. T(n)とT(n+1)からS(n+1)を計算
  3. nを増やす(N=2^n)
  4. S(n)が収束すれば終了・収束しなければ最初に戻る

ニュートン・コーツの公式

台形則1次多項式
シンプソン則2次多項式
ニュートン・コーツn次多項式
nを増加させると計算量が増え、またルンゲの現象で誤差が増えるので精度が上昇しないため、ニュートン・コーツの方式でnを増やすことは現実的にはあまり行われない。

ロンバーグ積分

  • 台形公式→シンプソンの公式のときは
    • Tn=Tn^(1) 誤差O(h^2)
    • Sn+1=...=Tn^(2) 誤差O(h^4)
  • Snを組み合わせてより誤差の少ない手法が考えられる。
    • T_n^{(k)}=\frac{4^kT_n^{(k-1)}-T_{n-1}^{(k-1)}}{4^k-1}

Tn^(k)をレベルkのロンバーグ積分という。
これより、台形則の計算の線形和で任意の次数の(精度のよい)ロンバーグ積分ができる。